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ミッフィーとブルーナ氏

光栄なことに1997年ミッフィーのお仕事をさせていただいた事がある。
ミッフィー生誕50周年の企画だった。

NHK教育テレビで5分間のプチアニメーションとして30話がシリーズ放送された。
ありがたいことに全話、アニメーションの完成後に音楽を作ることができた。こんなことは後にも先にも無い。作曲家冥利に尽きる経験だった。
ムービーデータをいただいてから作曲ソフトと同期させ作業する。なんという贅沢!。仕事ということを忘れるくらい楽しかった。
ストーリーや動きから曲調やテンポを割り出し、ミッフィーの瞬きや耳の動きにもさりげなく音を付けた。
不思議なことにミッフィーが動くテンポで曲を付け始めると、ほとんどのシーンで自然に音楽と動きのタイミングが合って行くのだ。アニメーションに身を任せれば自然に音楽が浮かんで来た。

第一話はオランダに住む原作者のデイック・ブルーナさんのチェックを受けるためパイロット版として早めに制作された。ブルーナさんは世界各地にご自分のエージェントを持っていて定期的にそれらを訪問して回っていると云うことだった。ブルーナさんが日本でのアニメーション制作に合わせて来日されたおり、制作スタッフの一人としてお茶会に参加できたことは忘れられない思い出だ。ご本人から直接音楽を誉めていただき、ほっとしたと同時に大変嬉しかった事を覚えている。
オランダの方は大柄な人が多いイメージだったのだが、ブルーナさんは比較的小柄な方だった。きれいに整った口ひげがおしゃれ。知的で物静かで穏やか、アニメーターを始め同席した皆にとても暖かく接してくれた。私もこんな感じで年齢を重ねられたら・・とつくづく思った・・。

放送後、「ブルーナのおはなしちえあそび」というシリーズでビデオ化、後にDVD4本セットとして発売された。

おかげでミッフィーの登場するM社CMの音楽も作曲させていただくことに・・。
http://www.misawa.co.jp/kosodate/

世界中で愛されているミッフィーの仕事ができて本当に幸せだと感じている。時間が経過するにつれその思いは増している。
ディック・ブルーナさんは2017年2月、89歳でお亡くなりになった。心よりご冥福をお祈りします。